最終更新日 2024年4月11日 by cuerda

一般的に、会社には規則が存在します。
全社員が守らなくてはいけないルールであり、これを遵守することで健全な社会生活を送ることを目的としています。
では、なぜこういったルールが必要になるのでしょうか。
企業は、一般社会と密接に関連しており、その中で働いている社員の責任を取らなくてはいけない存在です。
社員が働いている中で、何らかのトラブルが発生した時には、その企業が責任を取らなくてはいけません。
そのため、その企業の中できちんと独自のルールを作っておき、社会生活上で倫理や道徳に反しないような健全な行動ができるように工夫をしています。
そして、懲戒処分とはこういった組織の中で決められているルールを違反した従業員に対して行われるものです。

懲戒処分以外にも処分は複数存在する

基本的には、その人物に対する制裁の観点から行われます。
企業や社会的な秩序に反した行動を行ったことへの、制裁の意味が込められているのです。
注意をしなくてはいけないのが、似たような概念も複数存在するという点です。
例えば、懲戒処分ではなく懲戒免職という言葉も存在します。
これは、一般的に公務員に対して使われる言葉です。
ニュースなどでも良く使われている言葉ですが、企業と公務員に対する制裁の概念は、懲戒処分と懲戒免職で分けられていますので、こういった微妙な違いも理解しておく必要があります。
懲戒処分は、組織内だけのルールに基づいて行われるものに違いありません。
しかし、そこに法的な根拠が存在しないわけではないという点にも注意が必要です。

懲戒処分は労働契約に基づいて行われる

実際に、この権利は労働契約に基づいて行われるものであるため、その権利が行使されたときにはそこで働く従業員はそれに従わなくてはいけません。
これは、労働契約法という法律によって成り立っています。
もちろん、何が何でも使って良いわけではなく、この権利を行使するときには一定の条件も必要です。
それは、権利者がきちんと労働規則に関連する内容を周知していたかどうかです。
確かに、労働規則に反するような行動をしている場合には、その人物を処分することは妥当です。
しかし、そういったルールをきちんと周知させていないと、どういった行動が組織内でのルール違反に繋がるのかがわからなくなってしまいます。
そこで、こういった制限のつく権利については、それ以前にしっかりと規則などに関するルールの周知を行っておかなくてはならないという決まりが存在します。
こういった準備をしっかりとしておいて、初めて利用することができるものです。

無理に権利を行使しようとすると大きなトラブルに発展する可能性がある

実際に、労働条件や規則に関して、使用者である企業と雇われている社員で合意していない部分が存在するときには、この権利は行使することができません。
この場合、無理に権利を行使しようとすると大きなトラブルに発展する可能性が存在します。
また、懲戒処分には様々な種類が存在します。
規則違反の内容によって程度は異なりますので、それに応じた最適なものを選択することが可能です。
例えば、規則を破ったとはいえ、その内容がそれほど問題視するようなものではなかったときには、戒告などの緩い処分で済ませることもできます。
一方で、規則違反が大きなトラブルに発展する可能性があったり、看過することができないレベルになっている場合には減給や出勤停止、あるいは降格になる可能性も存在します。
そして、こういった規則違反の程度が最も大きくなったときには懲戒解雇という形で処分を下すことになるわけです。

懲戒処分が行われる事例

では、具体的にどういったことを行うと上記のような処分を行われてしまうのでしょうか。
就業規則によっても異なりますが、代表的なものでは経歴詐称や業務命令違反、職務怠慢などが挙げられます。
特にわかりやすいのが、経歴詐称です。
そもそも、企業側はその人物の経歴を信用して採用していますので、この部分に虚偽が存在するとその人物の信用性を損なうことになります。
その内容が重度のものである場合には、会社にとって大きな損害をもたらす可能性があるため、処分の対象となります。
職務怠慢についても、わかりやすい例だといえます。
自分がなすべき職務を行わなかったときに、処分の対象となるため気を付けなくてはいけません。
無断欠勤はもちろんですが、遅刻などについてもこれに含まれてしまいますので注意が必要です。

まとめ

懲戒処分では、退職金などの扱いも異なってきますので知っておかなくてはいけません。
仮に、懲戒解雇に相当するような大ごとになってしまうと、その人物に対して退職金は支払われない可能性が出てきてしまうからです。
普通、相手に自主退職を求めるような場合は企業側からの恩情として退職金が支払われることも多いです。
しかし、規則違反に関する懲戒解雇の場合にはこの限りではありません。
この場合には、就業規則にその旨をきちんと明記しておく必要がありますが、逆にその明記がある場合にはそれに従わなくてはならないので、やはりルールを知って順守することはとても重要なことだといえます。